2017
03.07

【研究室から】主張と協調の関係

リポート, 研究室から

あなたは自己主張と協調のいずれが大切だと思いますか。2012年にNHKが中高生を対象におこなった意識調査があります。結果の概要によると、自己主張せず、まわりと協調する中高生が6割を超えたとのことでした。

さて、この調査は自己主張と協調とが相反するものだと前提しています。けれども、それは本当でしょうか。実は、そこに日本の人材育成に関わる問題の1つがあると私は思うのです。

調査に使われた質問文を見てみましょう。それは望ましい生き方として、次の2つから1つを選ぶというものでした。1つ目が「他人がどう言おうと、自分がこうと思ったことは主張する」、2つ目が「無理に自分の考えをおし進めないで、多くの人の意見に合わせる」です。結果の概要では、前者が「自己主張」、後者が「協調」と表現されました。

一方、現実の集団であなたに求められるのは、次の6つでしょう。すなわち、(1)目的を共有する(共有)、(2)自分の考えを述べる(主張)、(3)相手の考えを聞く(調査)、(4)目的に対する双方の長所と短所、新たな解法を議論する(分析)、(5)採用する案を決める(決断)、(6)決めた案を尊重する(実施)、です。協調とは、この一連の行為をさして呼ぶものではないでしょうか。

これを受け入れるなら、主張は協調の大切な一部です。人に同調するだけでは能がありませんし、相手の考えを聞かないのも困りものですね。最近はグローバルリーダーという言葉も聞かれます。あなたには、大学の少人数ゼミを使って、ぜひこの一連のスキルを伸ばしてもらいたいですね。

(文責:中村理、学内誌「早稲田ウィークリー」2015年4月13日号への寄稿から一部を加筆して転載)

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